研究内容

研究目的

近年、道路や駅構内、建物や街中など、我々が生活している実世界環境にカメラやマイクを含む様々なセンサを設置し、それらをネットワークで結んだユビキタスセンサネットワーク(以下USNと略記)を構築する動きが社会で活発になっています。ただし、これらのUSNはいずれも、自治体や企業等の組織が、道路交通管制やビル管理、人流調査といったその組織独自の用途に利用することを目的として、組織自らがセンサの種類・配置の設計や設置を行っており、得られたデータも組織内のみで利用するという運用が行われています。このような運用方法は、適用分野や有用性が明確で、情報管理も容易である反面、想定された目的以外への再利用性が低く、利用範囲も限られます。しかし、上のようなUSNが近い将来に社会全体に普及し、世界各地に様々な用途のUSNが多数設置されるようになれば、それらを相互接続することによって、USNから得られるセンサ情報をWebのように誰もが自由に利用できる、地球規模の観測型実世界コンテンツを構築することができると考えられます。このようなコンテンツを本研究では“センシングWeb”と呼びます。

USNをセンシングWebへと進化させるためには、単にUSNを相互に接続するだけではなく、WebにおけるWWWや検索エンジン・ポータルに対応する技術が必要となります。しかし、Webの情報が、人手で入力される編集型の情報であり、テキストデータを中心とするのに対し、センシングWebの情報は、センサによる実観測で得られた観測型の情報であり、パターンデータであるため、その処理方法が異なります。また、観測型の情報は、編集型の情報とは異なり、被観測者のプライバシ情報が含まれているため、利用者に応じてこれを保護するような仕組みも必要となってきます。

そこで、本研究課題では、センサ情報のコンテンツ化のためには情報システム技術、プライバシ情報管理のためにはパターン処理技術、コンテンツの構造化・提示のためにはメディア応用技術という三つの研究分野の研究者を結集し、緊密な連携の下にセンサ情報のコンテンツ化と構造化・提示およびプライバシ情報管理のための技術を開発します。

Sensing Web

研究項目

多種多様なセンサ情報に対する統一的なアクセスのためのメカニズムを実現すると共に、センサ情報に含まれるプライバシ情報をフィルタリングするための基礎的技術、利用者に対して効果的に提示するための基礎的技術を研究開発し、Webのように誰もが自由に利用できるセンシングWebの実現を目指します。具体的な研究項目は以下の三つであり、これらの技術を統合し有効性を検証するために、公共環境での実証実験を実施します。

  1. プライバシ情報の管理:センサ情報に含まれるプライバシ情報を段階的に取り除いて提供する技術。
  2. センサ情報の共有:多種多様なセンサ情報に対し、利用者からの任意の情報要求を統一的に受理する技術。
  3. 観測型コンテンツの提示:利用者の情報要求に応じてセンサ情報を統合し分かり易く提示する技術。

上記研究を推進するために、1年目は、プライバシ情報の保護構造、情報サービスと情報要求の仕様、センサ情報と広域環境情報との対応関係に関する基本的な情報構造を設計します。2年目では、視聴覚センサ情報からのプライバシ情報のフィルタリング、情報サービス、情報要求間の適合のための情報変換・伝達処理、センサ情報と広域環境情報との対応付けのための基本的な処理技術を開発します。3年目は、1、2年目の研究成果を統合化し、公共環境での実証実験により有効性を検証し、センシングWeb実現の達成を目標としています。

センシングWeb

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