研究概要

海の深さを表す海底地形図は船舶の運航・環境の調査・資源の探査など様々な用途があるため,長らく作成が続けられてきました.海底地形図は詳細であるほど海の様子をよく把握できるため有用となりますが,現在のところ地球上の多くの海域においては粗い海底地形図しかありません.
 そこで本研究では海底地形図の詳細化を加速することを目的とします.従来の海底地形図の作成では専用の機材を積んだ船を現地に派遣して運用する必要があり,細かいデータを計測するには多大な時間と費用が掛かっていました.本研究では海底地形図は深度を画素値とする画像として扱えることに着目し,画像の解像度(画素の細かさ)を向上する技術である超解像を用いて粗いデータを細かくすることで,既にあるデータを活用して新たな計測を最小限に抑えつつ海底地形図を詳細化することを提案します.
 特に地形の凹凸等の複雑な構造を捉えるため,データから地形らしい特徴を自動的に抽出できる学習型超解像のアプローチを取りました.具体的には同じ海域における粗い低解像と細かい高解像の海底地形画像の組を多数用意して,それらの関係をニューラルネットワークに学習させ,新たに低解像画像が与えられた時に対応する高解像画像を推定できるようにしました.このようにして開発した超解像手法を,学習によらない単純な補間と比較する実験を行ったところ,画像の見た目・数値的な誤差のいずれにおいても本研究の手法が従来の補間を上回るという結果を得られ,学習型画像超解像によって粗い計測のみから細かい地形を復元できることが確かめられました.また推定の不確かさを数値化することで,今あるデータに基づく超解像のみでは詳細化に限界があり新たな計測が有用な海域を発見することも可能となりました.このように既存のデータで十分な海域では超解像を行い,新規のデータが必要な海域では計測を提案するという本研究の手法により,詳細な海底地形図の作成を大きく加速することができます.

本プロジェクトはDeSETプロジェクトのSEASON 1 チーム03「機械学習による超解像技術を用いた海底地形データ詳細化および深海測深支援システムの開発」の一部です.