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調理者の把持・解放動作に基づくレシピ提示システム

レシピを参照しながらの調理は,作業の合間を縫って情報を探索する必要があり,手間である.これに対して,調理状況に合ったレシピ情報を逐次提示するシステムがあれば有用である.本研究では,そのようなシステムの提案を目的とする.システムの支援対象は,初心者から熟練者まで幅広く想定するため,レシピ情報が不要な場面ではシステムの指示する手順に従って調理しなくてもいいような自由な調理においても,システムは正しく動作する必要がある.そのためには,自由な調理を記述したレシピと,自由な調理でも調理状況を推定し,情報を提示するシステムが必要である.

まず初めに,自由な調理をモデル化し,そのような調理における半順序な調理手順を記述できるレシピ形式を提案する.また,初心者を支援するために,レシピとして記述するコンテンツは初心者でも理解できるように細かい粒度で分割されていることが求められる.そこで,調理中に使用される物体に基づいて手順を分割したコンテンツの作成方法を明確にする.また,熟練者も支援対象であることから,重要度に合わせてコンテンツの提示方法を変えることで,不要な情報は無視できるようにする.

このようなレシピに基づいて情報提示を行うシステムを考える際には,調理者がレシピに記述されていない行動を取るなど,システムによる調理状況推定を困難にするような行動が多数発生し得ることが問題となる.これに対して本研究では,調理者による把持・解放動作を入力として利用してこの問題に対処する.探索範囲を適切に与えることで,不要な入力を除外し,どの作業が終わったか,次に取り組めるかといった調理の状況を正しく推定する.推定を誤った場合も,後の入力によりリカバリーできるようにする.

把持・解放動作に基づいた提案システムの挙動を評価するために,5人の被験者の自由な調理に対してレシピ情報の提示を行った.その結果,被験者がシステムの提示情報の誤りに気付いて修正を加えるような場面は,平均して3.2回に抑えることができた.