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{入射光と一次反射光の一次散乱光を用いた形状計測のための反射位置推定}

{ 近年、映画やゲームといった分野で写実的なコンピュータグラフィックス(CG)が用いられている。従来から写実的なCGは人手によって生成されているがそれには多大な費用や人件費がかかっている。そのためCGを自動的に生成することによりそのようなコストを抑えることが必要となっている。三次元CGモデルを生成する方法のひとつとして、現実の物体の三次元形状を計測しそれをCGモデルとして用いる方法が用いられている。このような背景のもと、これまで様々な三次元形状計測手法が提案されている。 従来の三次元形状測定手法として、物体表面に光を照射しその反射光をカメラで観測することで物体表面の形状を測定する手法が多く提案されている。これらの手法では、照射した光が物体表面で反射した点の三次元座標を得ることができる。しかし反射光を用いた手法の問題点として反射光がカメラで観測されない場合には反射位置が獲得できないという問題点がある。反射光がカメラで観測されない例として、反射光が物体によって隠されている場合(オクルージョン)や光を反射しない黒色物体、光を特定の方向にしか反射しない金属物体(鏡面物体)などがある。本研究ではその中でも反射光が物体によって隠されている場合に焦点を当て、このような場合でも光の反射位置を計測する手法を提案する。オクルージョンによって反射光が観測されないという問題点に対処するために本研究ではチンダル現象という光学現象に着目する。 チンダル現象とは、多数の微粒子が存在する空間では光が微粒子によって散乱しその道筋が観察することができるようになる現象である。つまりチンダル現象下では入射光や反射光が散乱媒体中で散乱する光(一次散乱光)を観測することができるようになる。反射光が観測できない場合でも、チンダル現象による反射光の散乱光が観測さえできればそこから光の反射位置を推定することができる。黒色物体、金属物体を対象とした反射位置計測手法として小山らの研究がある。小山らの手法では入射光の道筋を追跡するという手法でありオクルージョンには対応できなかった。これに対し、本研究では観測した入射光の一次散乱光と反射光の一次散乱光の強度分布を手掛かりに隠れた反射位置を推定する。 反射光の一次散乱光の強度分布を調べるために、チンダル現象下で生じる空間中の光の散乱をモデル化する。光の散乱モデルから画像上での反射位置からの輝度値の変化は距離に反比例して減衰すると仮定した。光の散乱モデルを用いてシミュレーターを作成し、反射位置からの輝度値の変化が距離に反比例して減衰することを確認し、この仮定が正しいことを検証する。 観測した画像の輝度値の変化を調べることで反射位置推定を行う。反射位置の候補となる点は入射光に相当する直線上かつ物体領域上である。得た反射位置候補点からの輝度値の変化を調べ、距離に反比例する関数をフィッティングさせることで反射位置候補点の評価値を得る。最も評価値が高い反射位置候補点を反射位置と推定する。 提案手法の有効性を検証するために、水槽に水を入れ散乱媒体として牛乳を混ぜ計測物体にレーザーを照射して観測画像を得た。計測物体として鏡面反射の強い金属板と鏡面反射が起こらないコルク板を用いた。実験の結果により画像上での推定は鏡面反射が十分に観測される場合は反射位置を正しく推定することができた。しかし散乱光が十分に観測されない場合では推定精度が低下し、その原因として正しい反射位置でない点からの輝度分布が距離の反比例に近い分布となってしまうことがあげられる。推定精度を向上させるために反射位置候補点の評価値の計算を改善する必要があることが確認できた。 }