内容梗概
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現実物体操作の逐次観測にもとづく柔軟物体モデルの漸進的なパラメタ推定


本論文では, バーチャルリアリティー(VR)システムにおける物体操作への利用を目的として, 現実世界において柔軟物体を操作した際の形状変化を再現できる仮想物体モデルの獲得について議論する.

VRシステムにおける物体操作はその内容が事前に決定していないため, 想定される操作に対する形状変化を全て観測・記録しておくことは非現実的である.このため, 形状変化をシミュレーション可能な仮想物体モデルを利用することが解決策のひとつとなる.このとき,モデルの形状変化が現実物体のそれと一致するかどうかは, モデルの変形特性を記述するモデルパラメタ値に依存する.そこで本研究では,様々な操作にともなう現実物体の形状を観測し, これらを同一のモデルの変形結果として再現できるモデルパラメタ値を推定することで未観測な操作も再現可能な仮想物体モデルを獲得することを目標とする.

このようなモデルパラメタ値を推定するために必要な観測形状は, モデルパラメタ値とモデル形状の関係に依存するため,何種類の操作を観測すれば十分であるか事前に知ることは困難である.このため,現実物体の操作を逐次的に観測しながら, モデルによって再現できない操作が観測されるたびに,それまでに観測した操作と併せて再現できるモデルパラメタ値に更新する処理が必要と考えられる. 本稿ではこのような処理を``漸進的"なパラメタ推定とよぶ.

上のようなパラメタ推定は観測形状とモデル形状の誤差を最小化することに帰着できるため, 本研究ではこの処理を漸進的に実現する最小化手法として実数値遺伝的アルゴリズム(RCGA)を用いる.RCGAの最小化処理は発見的な指針にもとづいて進められるため, 本研究では対象が柔軟物体であることを考慮し, 現実物体の均質性を仮定した粗いパラメタ推定と,その結果にもとづく不均質性も考慮した精細なパラメタ推定の2段階の処理を最小化指針として利用する.以上の手法の有効性を確認するために, 代表的な柔軟物体である線状(ひも等), 面状(布等)柔軟物体を用いて実験を行った. その結果,逐次的に操作の観測を繰り返しながらパラメタ値を更新することで,未観測な操作に対する形状の再現誤差を減少できることが示され,本手法の有効性が確認できた.


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