内容梗概
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複数経路を活用したバーストパケットロスに強いストリーミングシステム


インターネットの普及と広帯域化により、インターネット上でのマルチメディアコミュニケーションが様々な形で実現されるようになってきた。マルチメディアコミュニケーションでは映像や音声を伝送するため、大きな帯域が必要である。さらに、双方の教室でインタラクションを行うようなリアルタイム型のアプリケーションの場合、コミュニケーションを円滑に進めるためには遅延をできるだけ少なくしなければならない。

現在のインターネットでは、帯域を確保して品質を保証するといった技術が開発途上にあるため、映像や音声の乱れや途切れの原因となるパケットロスの発生を防ぐことができない。このような品質の低下を引き起こすパケットロスの中でも特に、連続して多くのパケットが損失するバーストバケットロスは長時間にわたる映像や音声の途切れを引き起こすため、コミュニケーションに重大な影響を及ぼす。パケットロスによる品質の低下を抑える手法はいくつか考えられるが、本論文では、リアルタイム型のアプリケーションで使用することを想定し、遅延を増加させずに品質の低下を抑える、冗長符号化とパケットパスダイバーシティ(Packet\, Path\, Diversity)という2つの手法に着目する。

従来から冗長符号化とパケットパスダイバーシティの2つに着目した研究はあった。しかしながら、プロトコル拡張により他のシステムとの互換性が失われている、複数のIPアドレスを持っていないとパケットパスダイバーシティを利用することができない、ストリーム伝送開始後に冗長符号化の冗長度などのパラメータを変更できないなどの問題があった。パケットロス率や帯域といったネットワークの状況は絶えず変化するため、状況の変化に応じて最適な伝送を行うためには、ストリーム伝送中のパラメータ変更が必要不可欠である。また、他のシステムとの互換性を保ち、IPアドレスが1つしかないなどの状況においても利用できるような高い汎用性をシステムに持たせるべきであることは言うまでもない。そこで、本論文では、RTP\, over\, RTP、Relayホスト、経路ごとの冗長符号化の3つを新たに採用し、従来研究の問題を解決した、より頑健なシステムを提案する。

本論文で提案するシステムを使用することにより、バーストパケットロスによる映像の乱れを大幅に抑えることができる。また、パケットパスダイバーシティを利用することができない他のストリーミングシステムと本システムを組み合わせることにより、そのようなシステムにおいてもパケットパスダイバーシティの使用を可能とし、よりバーストパケットロスに強くすることができる。さらに、直接経路を1本しか持っていないため、従来の手法では複数の経路を確保することができなかったホスト間でもパケットパスダイバーシティが可能になる。

本論文では、遅延の制約が厳しいリアルタイム型アプリケーションでマルチメディアストリームを伝送するための新たな手法を提案し、その手法を利用したシステムの設計と実装を行った。そして、本システムの有効性を検証するためのシミュレーションを行い、本システムの有効性を確かめた。


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