内容梗概
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教材スライド間の類似性に基づく講義の構造分析


近年、講義の映像化のために自動撮影システムの研究が行われてきており、これらの研究により、人手による負担を少なくし、講義状況を記録できるようになってきた。また、それらの映像コンテンツをいつでも自由に利用できるようになってきた。これらの研究においては講師および生徒の動きや状態に基づいた状況理解を行い、撮影の方法を決定する手法や、講義資料を記録する手法が提案されている。 しかしながら、講義中の重要な状況の推定に関する情報を記録する研究はなされていない。講義状況の撮影や講義資料の記録に加えて、重要な状況がどの部分であるか推定が可能となれば、映像コンテンツをより有効利用することができるようになる。 そこで、本稿では講義中の重要な状況の推定に関する情報を記録するための、講義構造の分析を目的とする。

講義状況には教材の使い方や時間などといった講義を構成する要素の構造と関連があるとあると考え、講義の要素としての教材に注目する。 講義において利用される教材として板書や配布資料、パワーポイントスライドなどが挙げられるが、このような教材は講師によって説明される内容の一部あるいは、内容を要約したものである。本手法においては、教材としてパワーポイントスライドを用いる講義を対象とする。これは、パワーポイントスライドを用いる講義では次のような特徴が挙げられるためである。

具体的な手法としては次のようになる。 スライドの推移から構造分析を行っていくため、スライドそのものとスライドの切り替えに注目する。 各スライドが異なる内容を説明している場合、全てのスライド間の切り替えが示しているのは内容の切り替わりである。しかしながら、何枚かのスライドである内容を説明している場合はそのスライド間における切り替えが示すのは内容の切り替わりではない。そこでスライド間の関係からスライドの内容的なグループ化を行うことで講義の内容的な区切りを検出することを目指す。 まず、このようなスライド間の関係を得るためには、スライドそのものに注目し、それぞれのスライドを特徴付ける必要がある。そこで、スライドに含まれるキーワードを形態素解析により抽出し、キーワードに対してTF*IDF法を用いて、スライドの特徴を求めた。次に、この特徴を利用し、スライド間の関係としてスライド間の類似度を定義し、それを利用することで類似した内容を説明しているスライドの内容的なグループ化を行う。これにより各スライドが所属するグループについての情報が得られるため、講義におけるスライドの提示順序にしたがってスライドの所属グループの推移を調べることで、内容的な区切りを検出する。スライドの推移において、内容的な区切りの分布に注目することで講義の構造分析を行い、重要区間の推定を行う。また、キーワードに基づいた各スライドの得点を定義し、スライドの重要度とした。

以上で述べた本手法の有効性を示すため、実際に教材としてパワーポイントスライドを利用する講義に対して実験を行った。内容的な区切りの分布による構造分析を行った場合に重要であると推定された区間に含まれるスライドに対して、スライドの得点を調べたところ、その講義において高得点の部類に含まれる事が分った。これにより、重要な部分の候補となるスライドの提示区間を推定するための、講義の構造分析が出来ることを確認した。


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