内容梗概
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データの欠損にロバストな距離画像検索法


本研究では,距離画像間の相関を利用して, 与えられた距離画像をもとに,データベース中から距離画像を検索する方法について提案する.

レーザレンジファインダ等の距離画像撮影機器の登場により, 距離画像の取得が容易になってきた. 距離画像とは,撮影物体表面の3次元位置情報を格子状に並べたものであり, 各格子点には物体表面上の各点に関する位置情報が,距離画像撮影機器によって定義される3次元座標系で表現される座標値として保持されている. 距離画像には,以下の3つの利点がある. (1)物体の3次元情報を曖昧さなく直接的に表現できる. (2)各点には3次元座標値が格納されているために回転・平行移動等の操作により幾何学的な位置合わせができる. (3)画像の輝度値と違い環境による値の変動がない. 以上のような利点から,距離画像を使った物体の姿勢推定や認識といった研究がなされ,一つの物体に関して様々な方向から撮影された多くの距離画像データが利用されるようになっている. このような状況から考えると, 多くの物体に関して同様に多数の方向から撮影した距離画像を収集したデータベースの構築を想定することができる. しかし,距離画像をキーとして距離画像検索を行なう,という試みはほとんどない. そこで,本研究では距離画像を検索のキーとした距離画像検索法を提案する.

距離画像検索で問題となるのはデータ取得の際の欠損である. この欠損には,撮影角度の違いによる欠損や, 撮影可能範囲からの逸脱による欠損,センサ特性による欠損がある. これらの欠損により,同一物体を撮影した距離画像であっても, それらを同一であると判断するのは難しい. 本研究では,これらの欠損は,検索キーとなる入力距離画像に限らず, データベース中のデータにも存在すると仮定する. このような検索においては,距離画像から特徴量を抽出し特徴量空間上の位置関係から検索するという類似画像検索を応用した方法や, 検索キーとなる距離画像が持つ特徴点とデータベース中の距離画像の持つ特徴点の対応関係から検索する物体認識法を応用した方法等が考えられる. しかし,これらの手法では,データベース中のデータと検索キーとなるデータ間での欠損の位置・程度の違いにより様々な問題が発生することが考えられる. そこで本研究では,欠損に対してロバストに検索結果を導き出すことを目的とし, 距離画像間の相関を用いて評価値を算出することで, 欠損の影響を受けない検索法を提案する.また,この方法では検索に時間がかかるため,その短縮方法に関しても検討する.

本手法では,相関をとる二つの距離画像に共通して存在する部位に着目して評価値の算出を行なう.共通部位とは,入力距離画像を回転・平行移動させて位置合わせを行なった時に,データベース中の距離画像と重なりあう部位のことであり,両距離画像の同一格子に保持されている奥行き値の差が閾値以下の部位とする. この共通部位は,距離画像間の同一性を示す一つの指標である. そこで,評価値として,入力距離画像中に占める共通部位の割合を用いる.このようにして評価値を算出することで, 欠損の影響を受けにくい検索結果を導くことができる.

この手法の手順は以下のとおりである. 入力された距離画像を一定角度回転させた距離画像を生成する. 生成された距離画像を平行移動させ,データベース中の距離画像と重ね合わせる.このとき最適な位置の判断基準として,共通部位の格子点数の多さを用いる. 最適位置における共通部位の格子点が入力距離画像を構成する格子点に占める割合を算出し,その最大値を評価値とする.

この手法で時間がかかる原因は,回転・位置合わせ時の計算反復回数の多さと,データベース中の距離画像すべてに関して評価値を算出する点にある. そのため前者に関しては,最適な位置を探索する時のステップ幅を大きくしておおまかに位置を合わせたあとに微調整することで,計算回数を減らすという方法をとる.また後者に関しては, 評価値算出を行なうデータベース中の距離画像を制限するという方法をとる. すなわち,検索キーの代表距離画像に対する評価値と, データベース中の距離画像の代表距離画像に対する評価値とを比較し, それらの値が近い距離画像とのみ評価値算出を行なうという方法である. そのため,あらかじめデータベース中の全ての距離画像に関し, 他の距離画像に対する評価値の算出を行なっておく. これにより,評価値の算出回数を,データベース中の距離画像の総数から, 代表距離画像の個数と候補に選ばれた距離画像の個数の和へと減少できる.

本報告書では,以上に述べた相関による評価値算出による検索結果の評価実験と候補選出の精度の評価実験を行った. その結果,相関による評価値算出に基づく検索は良い結果が得られ, 欠損に対してもロバストでることが確認できた. 候補選出の精度に関しては,欠損が少ない場合に良い結果が得られることが確認できた.


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