内容梗概
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ホームネットワークにおけるアプライアンス間の同期制御機構を伴ったサービス提供手法


特定の目的に特化して設計された情報家電(アプライアンス)は、ユーザにとって利用し易い反面、PCと比較すると、その機能は非常に限定されている。アプライアンスが相互接続されたホームネットワークを想定した場合、複数のアプライアンスを組み合わせ、それぞれの限定された機能を相互に補完することで、単体では提供し得なかった高度な機能を新たに創出し、サービスとして提供することが可能になると考えられる。本稿では、複数のアプライアンスの動作を連携させることを考慮したサービスの提供手法について提案する。

近年、家庭内の情報化が急速に進展してきており、アプライアンスをネットワーク化し、相互にデータ伝送や制御を可能にしようという機運が高まってきている。この流れを受けて、様々な標準化団体がホームネットワーク関連規格の検討を進めているが、ほとんどの規格は、PCや専用コントローラ等の特定機器を中心としたアプライアンスの遠隔操作を主要なサービスとして位置付けている。一方、現在検討が進められているネットワークドアプライアンスアーキテクチャAMIDENでは、ネットワークインタフェースを搭載したそれぞれのアプライアンス(NA:Networked Appliance)が、自律的に動作して通信パスを構築し、相互の機能を補完することで、複合的で柔軟なサービスを提供する。

従来のAMIDENアーキテクチャでは、あるサービスを享受するためには、ユーザはそのサービスの構成要素となるNAを直接操作し、サービスの構築操作を行う必要があった。しかしながら、この制約の下では、利用したいサービスを構成するNAをユーザが常に認識していなければならないばかりでなく、1つのNAの利用を前提としてしまうことで、そのネットワークで実現可能なサービスの範囲を狭めてしまうことになりかねない。そこで本稿では、このAMIDENの拡張として、サービスに直接関わらないNAからでもサービスの構築が可能なリモートサービスセットアップ方式を提案する。

AMIDENでは、サービスを構築するために必要な情報は、XML形式の「サービス定義ファイル」に記述される。ユーザからのサービス要求を受けたNA(イニシエータ)は、このファイルに基づいて、サービスを提供するために必要な機能要素(FE:Function Element)をネットワークから発見し、そのFEを有するNAとの間に通信パス(コンテンツパス)を張ることでサービスの構築を実現する。提案手法では、イニシエータがサービスの構成要素となる場合とそうでない場合とで動作を変えるようにし、前者の場合は、発見したFEとの間にコンテンツパスを構築するが、後者の場合は、最初に発見したFEとの間にコンテンツパスを構築しないものとする。これにより、任意のNAをイニシエータとしてサービスを構築することが可能となる。

従来のAMIDENアーキテクチャでは、データパスを用いた通信しか規定しておらず、それだけでは緻密な制御が不可能である。本稿では、全てのコンテンツパスの構築が完了した後、サービスを構成する各NAを、共通の時間軸やイベントに従って連携動作させるための仕組みを提供することで、サービス全体を制御する手法を提案する。

NA間の連携処理は、XML形式で記述された「サービスシナリオ」に基づいて行う。各NAを単位として、他のNAの処理のトリガになり得るイベント、及び、他のNAが発行するイベントをトリガとして駆動されるメソッドを規定し、これらをサービスシナリオにしたがって、制御用の通信パスを張ることで結び付ける。これにより、NA間の連携処理が実行され、全体として実行中のサービスの制御が実現される。

以上の2つの提案手法の有効性を検証するために、PC上にこれらの手法を実装するとともに、無線LANによるネットワークを構築して実験を行った。その結果、複雑なネットワークトポロジーを有するサービスを構築し、定義したサービスシナリオに基づいたアプライアンス間の連携処理を実現できることが確認された。


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