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二次元射影による点群データからの人体表面再構成


三次元計測器によって得られる人体表面の点群データに対して、二次元射影及び二次元ドロネー網を用いて表面形状を再構成する手法について述べる。

計算機の高速化が進む昨今、コンピュータグラフィクスの需要はますます高まっている。特に最近、人体を仮想的に計算機上に表現し、服飾、寝具、乗り物の座席などの設計に利用することが始まっている。このためには、精密な人体形状のディジタルデータを獲得する事が要求される。

人体形状のディジタルデータを獲得するには、非接触式三次元画像計測を用いて直接計測する手法が有力である。このような計測器から得られるのは、本来離散的な点群データである。このため、計算機上で点群データから物体表面を再構成する必要がある。

これに関しては、三次元ドロネー網を作成することで物体表面を記述するパッチを構成する手法がある。しかし、二次元平面におけるドロネー網作成方法を単に三次元空間に適用すると、凹曲面において本来存在しない表面を構成するなどの問題があった。

そこで本手法では人体が関節物体であることに着目する。人体は大まかに頭部・体幹部・四肢とに分けることができ、それぞれは円筒形に近い形をしている。これらをそれぞれ一つの体節とし、体節ごとに点群データのパッチを構成する。対象とする人体形状は、ほぼ直立姿勢を取っているものとする。体節への分割の情報については与えられるとし、この時の表面再構成の方法について述べる。

基本的に人体表面上の点群は各体節の軸の周りに放射状に分布する。ここではこれを利用し、体節ごとに点群データを円筒面に射影する。射影した円筒面上の点を、円筒面の軸を中心とする回転角と高さを表す二つの座標値で表し、二次元平面とみなしてドロネー網を作成する。ドロネー網はユークリッド距離の大小関係から求まる位置関係をもとに構成される。このためドロネー網から正確なパッチを構成するためには、三次元空間における位置関係が射影後も保存される必要がある。

しかし、実際には射影後の位置関係が保存されない場合がある。まず、各体節は直立姿勢においても、必ずしも直線状ではない。例えば四肢は、膝、肘、手首、足首のような可動部分をもち、ほぼ直立姿勢をとったときでさえ、かなりの湾曲を含む。ここでは円筒の軸を直線から折れ線状に拡張し、複数の円筒に射影することでこの問題を解決する。また、三つ以上の体節が交わる部分(例:首から肩にかけての部分)と体節の端部に関しては、円筒面の軸に対して垂直に近い面が存在するため、円筒に射影することは不可能である。このような部位に関しては、半球面への射影を併用することでこの問題を解決する。

これらの手法を併用することで、各体節の表面を再構成する。体節のほぼ中心を通るような折れ線状の軸を求め、この軸の周りに複数の円筒面を設定する。点群を適切な円筒面へ射影する。体節の端部に当たる部分に関しては、必要に応じて半球面への射影を行う。射影した円筒面及び半球面上の点の位置は、それぞれ二つの座標値で表すことができるため、二次元ドロネー網を作成することができる。作成したドロネー網から得られる点の接続関係をもとにパッチを構成する。複数のドロネー網から得られる接続関係の結合には、分割する際に各円筒面及び半球面を重なりあうようにとり、ドロネー網を構成した後、余分なパッチを除去する手法を用いる。結合後の接続関係を元の三次元空間の各点の接続関係とすることで、表面形状を再構成する。

実計測データに対して提案手法を適用した。実験では、体節に分割された人体形状の点群データを用いた。各体節の点群データに対してパッチを構成した。また、円筒面への射影のみを用いたパッチの構成結果と、円筒面と半球面への射影とを併用したパッチの構成結果を比較し、半球面への射影の有効性を示した。さらに、分割する軸の数を変更し、構成されるパッチの辺の長さの分散を比較した。この結果、単一の円筒に射影するよりも複数の円筒に射影することで、辺の長さがより均一なパッチを構成することができることを確認した。


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