内容梗概
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ホームネットワーク環境における端末発見サービスモデルの比較評価


近年、家庭において情報機器やAV機器、白物家電などを相互に接続するネットワークを構築しようとする取り組みが活発になってきている。家庭内のこれらの機器が相互に接続されると、複数の機器の機能をネットワークを介して利用できるようになり、機器の利用方法は拡大し、新たな用途が生まれる。

従来のコンピュータネットワークでは、新しい機器を追加する度にアドレスや名前の設定を行う必要がある。さらに、重複がおこらないように管理しなければならず非常に面倒である。また、障害箇所を特定し復旧するためには専門的な知識を持った管理者が不可欠である。しかし、家庭内にネットワークが浸透した場合、利用者に専門的な知識は全く期待できない。したがって、機器を接続すると必要な設定が自動的に行われ、障害回復が容易なネットワークが求められる。

ホームネットワークの多くは機器の情報を管理するためにサーバ専用の機器が必要である。しかし、ネットワークを構成、維持するために専用の機器に依存すると、わざわざその機器を用意しなければならず、その機器が故障したり、不意にネットワークから取り外されたときに機器間の連携がとれなくなる。また、携帯機器を持ち寄って一時的なネットワークを構成する場合にも専用のサーバが別途必要となると、非常に不便である。このために、サーバ専用の機器を必要としないネットワーク構成方式が望まれる。

本稿では、ホームネットワークはサーバ専用の機器がなくても利用できるべきであるという観点から、機器の参加、離脱を頻繁に行うことが可能で管理者を必要としないホームネットワークを構成する方法を検討する。そのなかでも、特に基本サービスとなる端末発見サービスを提供するために必要な機器情報の管理手法について検討する。

管理手法には様々な方式があるが、ホームネットワークにふさわしいと考えるものをモデルに分類し比較する。特定の機器で情報を集中管理する方式として、固定サーバモデルとダブルサーバモデルがある。固定サーバモデルでは、専用のサーバを設け、機器情報の管理は専用サーバによって行う。サーバ以外の機器(クライアント)は、必要な情報をサーバに問い合わせることで獲得する。このモデルは、専用のサーバに依存しているためサーバの故障や取り外しが生じると、ネットワークが利用できなくなる。そこでダブルサーバモデルでは、継続してネットワークが利用できるように2台の機器が同時に取り外される可能性は低いと考えて、2台のサーバを設ける。一方のサーバに障害が生じても、もう一方のサーバがあるため継続した利用が可能である。サーバの不在を認識したときに新しいサーバを選択することで、後にサーバが取り外された場合にも対応できる。

また、それぞれの機器ですべての機器の情報を管理する方式として、情報共有モデルと代表サーバモデルがある。情報共有モデルでは、ネットワークに接続されている機器は定期的に他のすべての機器に自らの機器情報を送信する。これにより、それぞれの機器において情報の管理を行う。このモデルでは、機器の参加にかかる時間が情報の送信の周期に依存する。そこで代表サーバモデルでは、参加にかかる時間を短縮するために代表サーバを設け、新しく接続された機器に対して代表サーバが既存のすべての機器の情報を知らせる。

それぞれのモデルについて時間やトラフィック、接続台数による比較を行うためのシュミレーション実験を行った。その結果、機器の接続台数が多い場合や、通信帯域が制限されている場合はダブルサーバモデルが最適であり、また、端末発見サービスが頻繁に利用される場合は、代表サーバモデルが最適であることが導かれた。たとえば、一般的な家庭におけるネットワークでは接続台数が20〜30台と考えられるので、ダブルサーバモデルが最適であり、また、小規模なアドホックネットワークでは端末発見が短期間に集中すると考えられるので、代表サーバモデルが最適であると言える。さらに、導出された結果をもとにして、環境や接続台数に応じたモデルを選択することで、常にそのときの状況にあった最適なネットワークを構成することができる。どのような状況においても単一のモデルによりネットワークを構成する場合と比較して、状況に適合した最適な方法でネットワークを構成することは有効であるといえる。


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