内容梗概
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曲面に対する単純な変形の組み合わせにもとづくFFDの制御点決定方法


近年、コンピュータ上で滑らかな曲面を持つ3次元形状モデルを作成する必要性 が高まっている。 曲面の作成方法としては、 ユーザが用意した曲面の1部分を選択しこの部分を移動する、という変形操作を 行なうことで単純な変形を行ない、これを複数回繰り 返すことで、曲面を作成する場合が多い。 この変形操作後に別の曲面に対して同様の変形を行なうとき、 既に行った変形操作と同じ操作を繰り返すことはユーザにとって煩わしい。 さらに、同じ変形操作を行なうことができるとは限らない。

ユーザが曲面に対して行った変形を登録し、 登録した変形を別の曲面に適用することができれば、 ユーザが同様の変形を行なうときの作業を 軽減することができる。 本稿では、このための曲面変形の方法について述べる。 本研究で変形の対象とする曲面は、モデルに対してある視線方向を決めたとき、 この方向から曲面上の全ての点が見え、かつ滑らかであるという曲面である。 すなわちこの曲面は、3軸直交座標系を1つの軸が視線方向と重なるようにとっ たとき、残りの2軸方向の座標値をパラメータとした1価関数で表され、かつ滑 らかである、という性質を持つ。 また、曲面に対する変形は、この変形を曲面に与えた後も曲面が前述 の性質を保ち続ける、という変形に限定する。

曲面に対する変形においては、曲面の滑らかさを保つことが重要である。 曲面を滑らかに変形する手法としては、 曲面の周辺に制御点を配置し、これを移動させることで曲面を変形させる Free-Form Deformation(FFD)がある。 FFDを用いれば、少ない制御点の移動により曲面を滑らかに変形することができる。 そこで、本研究では、曲面に与えた変形をFFDの変形によって近似することで 変形の登録を行い、こうして登録した変形を別の曲面に適用することを提案する。

ここで曲面に対する視線の向きを変形の向きと考える。 この変形の向きをW軸の正の向きとした局所的なO-UVW直交座標系をとると、 登録する変形は、 O-UVW直交座標系で考えるFFDによるW軸方向の変形として記述できる。 すなわち、まず、2枚のB-Spline曲面の制御点をFFDの 制御点のUV座標値に合わせて配置する。 次に、このB-Spline曲面を用いて変形の登録時に用いる2枚の曲面をそれぞれ近似する。 求めた2枚のB-Spline曲面における制御点のW軸方向の差分を 同じUV座標値を持つ全てのFFDの制御点の移動量とする。 このようにして、一度導き出した制御点の移動量をユーザの変形として登録し、 登録した変形を別の曲面に対して適用することで、この曲面を変形する。 このとき、登録した変形は、最も簡単な直方体のバウンディングボックス を用いたFFDによる変形となる。

モデルの滑らかさを保つために、 変形の境界において変形に関係する制御点を移動しないようにする。 本研究では、FFDの基底関数に4階のB-Spline関数を用いる。 それゆえ、 変形の境界においては、FFDの各軸方向に関して3つの制御点を用いて 曲面の頂点の移動量を計算する。 よって、各軸方向に関して変形の境界における3つの制御点を移動しない。

登録した変形を大きさや向きを変え て他の曲面に適用できるようにする。 ユーザは登録した変形を適用する際、変形の大きさや向きを バウンディングボックスで指定する。 既に決定したFFDの制御点の座標値を、このバウンディングボックスの大きさや向 きに合わせて調整する。 こうすることで、登録した変形を大きさや向きを変えて 曲面に適用できる。

本手法の有効性を示すために、本手法を用いて曲面を変形した例を示した。 また、本手法と、ユーザがFFDの制御点を移動すること で曲面を変形する手法を被験者を用いて比較する実験を行なった。 結果として、被験者から本手法の有効性を示す回答が得られた。


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