内容梗概
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時空間の分割とビデオ画像のパイプライン処理による高速三次元再構成


コンピュータの処理能力の向上や記憶容量の増加によって、コンピュータ中の 仮想空間と実空間をリンクすさせる試みが現実味を帯びてきつつある。たとえば、 コンピュータネットワークを利用した遠隔会議や遠隔講義において、参加者や 会場の状況を仮想空間に反映させ、他会場にいる参加者に伝えようとする研究 が行われている。実空間をコンピュータ上に三次元世界として再構成すると、 コンピュータグラフィックスの技術を用いて様々な加工を行うことができる。 このためには実時間で実空間をコンピュータ上に再構成する必要がある。

これまで提案されている実空間をコンピュータ上に再構成する方法の最大の 問題点は、データおよび処理量が膨大なため処理に時間がかかる点である。本 論文ではこの問題を分散処理により解決し、数台のビデオカメラと分散環境に ある複数のコンピュータを用いて高速に実空間をコンピュータに取り込む方法 を提案する。すなわち、

を目指す。

分散処理により空間の再構成を行うためには、再構成のアルゴリズムが分散 処理に適したものである必要がある。つまり、プログラムとデータの分割によ り各プロセスの処理時間を等しくすることができるアルゴリズムで、しかもプ ロセス間の通信の少ないものである必要がある。このような方法として視体積 交差法がある。視体積交差法では同一時刻に撮影した複数枚の画像を利用して、 物体の形状を決定する。ボクセルで空間を表現すると各ボクセルに対応する空 間が物体内かどうかの判定が、別の時刻や別の位置にあるボクセルの値によらず 決定できる。この局所性を利用して、本論文では観察中の時空間を分割する。 分割された時空間をいくつかのコンピュータで同時に再構成することによりレ イテンシを小さくする。

また、遠隔講義や遠隔会議などは固定した会場で行われることが多い。この ような場合には、会場のモデルをあらかじめコンピュータに持たせておくこと ができる。すなわち、静物体のモデルをあらかじめコンピュータに持たせてお くことで、空間の再構成は動物体の位置や形状を求めるだけで達成される。

視体積交差法で動物体の位置や形状を求めるためには、各画像上で動領域を 求めなくてはならない。よって、ビデオカメラでの撮影から空間の再構成まで に次の3ステージの処理が必要になる。
1.ビデオ画像の取り込み
2.画像上の動領域の抽出
3.各ボクセルが動物体内かどうかを視体積交差法により算出
本稿で提案する手法では、この3ステージの処理をビデオサーバ・エクストラ クタ・3Dコンポーザの3種のプロセスが行う。これらのプロセスでパイプラ インを構成し、その中にデータを流すことでスループットの向上を目指す。

この手法に基づいて空間の再構成をする実験を行った。再構成した空間は、京 都大学情報工学教室第二講義室であり、ボクセルの大きさは一辺の長さが5cm の立方体とした。LAN上の4台のコンピュータでビデオ画像処理を行い、4台 のコンピュータで空間の再構築を行ったところ、1秒あたり7.2フレーム(70 万ボクセル)の処理速度を得た。レイテンシは約0.5秒であった。これに対し、 空間の再構成を1台のコンピュータで行ったと場合のスループットは2.2フレー ム/秒(20万ボクセル/秒)、レイテンシは1.4秒であった。空間の再構成に 1台のコンピュータを用いる場合と比較すると、4台のコンピュータを用いた 場合にはスループットは3倍以上になり、レイテンシは約1/3となった。


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