内容梗概
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解像度と画像特徴の関係に基づく画像拡大法


コンピュータの普及にともない,デジタル画像も一般的に使用されるようになった.しかし,要求に見合ったサイズの画像がつねに用意できるとは限らない.必要に応じて画像を拡大,縮小する必要がある.本研究では画像を拡大する場合にどのような処理を施せば見る人間にとってより高画質な印象を受ける画像を提示できるかという問題を扱う.拡大画像に見られる画像特徴を求め,画質との関係を明らかにすることで,高画質な画像拡大の方法を提案する.その方法によって,従来の方法よりも画質を向上させることが達成できることを明らかにする.

まず画像を拡大した場合に,画像特徴にどのような変化が現れるのかを考察する.画像を拡大する際最も単純な方法は各画素を拡大することである.この方法で拡大した画像(単純に拡大した画像)について視覚的に目立つのは領域の境界が階段状になること(ジャギーの発生)である.このことを縦方向と横方向で解像度を変化させた画像のフーリエパワースペクトルの同心円エネルギー分布と $\theta$ 方向扇型内エネルギー分布を求めることで確認した.単純に拡大した画像では,高周波成分が失われている.縦方向の解像度を下げた画像では,画像に元々備わっていた,鉛直方向のエッジに変化はなく,斜め方向〜水平方向のエッジは失われる.そして水平方向にはジャギーによると見られるエッジが発生することがわかった.実際に画像を拡大するときは,縦方向と横方向の解像度は同じように下がるので,これらを合わせて考えると,単純に拡大した画像では,斜め方向のエッジは最も失われていて,水平,鉛直方向には,ジャギーによるエッジが発生しているといえる.

次にこのような画像特徴の変化が,画質として人間の視覚に与える印象にどのように関係しているかを調べた.周波数領域でのエネルギーの低下と,ジャギーの発生によるエネルギーの付加をそれぞれ求め,アンケートにより調べた画質の評価結果と比較する.その結果,画質が低い評価を受けたものには,エネルギーの高周波成分の低下とジャギーの発生によるエネルギーの付加がみられた.

以上のことから画像を拡大する場合,画質を向上させるために単純に拡大した画像に対して行なう処理に要求される条件は,

の2つである.条件を満たすために,本研究ではジャギーを検出するテンプレートを作成し,これによって検出されたジャギーを斜め方向のエッジと置き換える方法を提案する.

すなわち,原画像中の1画素の単純拡大によって生じる四角形と,その周辺との間の色の差に基づいて注目している四角形がジャギーを発生させているかどうかを判定する.注目している四角形がジャギーを発生させているならば水平,垂直方向のジャギーエッジを斜め方向のエッジと置き換える.

この処理を施した画像のフーリエパワースペクトルを調べることによって,先に述べた,単純に拡大した画像に対して行なう処理に要求される2つの条件をみたしていることが確認できた.あわせて従来よく使用される平滑化処理を行なった場合のフーリエパワースペクトルを調べた.平滑化処理としては平均値フィルタとメジアンフィルタを使用した.その結果,平均値フィルタは先の2つの条件をどちらも満たさず,画質を下げる働きをしていること,メジアンフィルタは 2つの条件のうち斜め方向のエッジを補うことが満たされていないことが明らかになった.

この結果を確かめるために,単純に拡大した画像,本手法により処理した画像,平均値フィルタにより処理した画像,メジアンフィルタにより処理した画像について人間の視覚による評価をアンケートにより調査したところ,本手法による処理が最も高い評価を受け,本手法の有効性が確認できた.


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