内容梗概
[English | 論文 | 美濃研の研究 | 美濃研究室 ]


並列DSPボードによる実時間ステレオ視の実現


並列DSPを用いて実時間ステレオ視を実現する.特に、 DSPボードに適した実時間ステレオ視のアルゴリズムを提案し、実験により有効性を確かめる。

実時間ステレオ視の問題には、``精度''、``高速化''の2面がある。 ``精度''の面では、誤対応を減らすために、対応点探索におけるオクルージョンの問題を解決しなければならない。また、カメラの配置は``精度''、``高速化''の両面に影響し、特に、カメラの基線長(カメラ間の距離)は対応点探索の範囲を変化させ、その変化により処理時間が影響されるので、カメラの基線長について考える必要がある。また、複数のDSPでステレオ視を高速に実行する上で、 DSPの結合の方法について考える必要がある。本研究では、上に述べた3つの問題について解決策を提案し、実験で有効性を確かめる。

まず、対応点探索におけるオクルージョンの問題について述べる。オクルージョンは2種類に分けられる。1つは``点のオクルージョン''といい、一方の画像で見えているが他方の画像では映っていない特徴点が生じることである。このオクルージョンが起きた状況で対応づけを行なうと誤対応が起こる。本研究では、誤対応した点は類似度が低いという観点から、対応の取れた点の類似度にしきい値を設けて、しきい値以下ならその点を棄却する方法を提案する。もう1つのオクルージョンは''境界線のオクルージョン''といい、エッジの片側に観測される物体が両画像面で異なることである。本研究では、エッジの片側は輝度が類似しているという観点から、エッジの両側においてそれぞれ別に輝度を比較し、輝度の類似度が高い側をそのエッジの類似度とする方法を提案する。

次に、カメラの配置について述べる。本研究では、2つのカメラの画像面が同一平面上に位置するようにカメラを配置する。これにより、画面上に投影される点の位置の不確かさがステレオ視の測定に影響する度合いを減少させる。かつ、スキャンラインとエピポーラ線を一致させることにより、 DSPを高速に動かすことが可能となる。

このようにカメラを配置したときの基線長を考える。本研究では、カメラの基線長は、測定範囲、対応点探索の範囲、カメラの焦点距離とセンサーの大きさから決定する。基線長は長いほど高精度な測定が行えるが、対応点探索を行なう視差の範囲が広がることで処理時間がかかる。そこで、測定範囲や対応点探索の範囲を限定することで、高速化と精度を両立させる。

最後に、複数のDSPの結合方法について述べる。本研究では、実時間処理を行うために、高速化に適した DSPの結合方法を提案する。本研究によれば、最も高速化に有効である結合方法は、並列結合である。特に、1DSP当たりの処理データ量を減らす画像分割による並列処理が効果的であると考えた。そこで、ステレオ視における画像の水平分割と垂直分割について考察した結果、エッジ抽出の段階のデータ処理の時は、水平方向に長いときは垂直分割、逆の時は水平分割が処理時間が短いことが考察された。対応点探索では、特徴点が均等に分かれるように分割する方が処理時間が短くなることがわかった。

本研究で提案した画像分割の並列処理による高速化の効果を実証した。 DSPを用いて、画像の水平分割の並列処理によるステレオ視のシステムと画像の垂直分割の並列処理によるステレオ視のシステムの2つを作成し、それぞれの処理時間を実験で求めた。画像のサイズは幅250pixel高さ200pixelで行なった。エッジ抽出の処理では水平・垂直分割のうち、垂直分割の方が処理時間が僅かながら短いことが示された。対応点探索のデータ処理では、特徴点が均等に分かれるように画像を分割した方が処理時間が短いことが示された。

これらの結果より、本研究で提案した画像分割の並列処理による高速化の有効性を示した。また、この方法により実時間ステレオ視を実現した。


学位論文のページに戻る